スギ花粉症の舌下免疫療法
スギ花粉症の舌下免疫療法
人体には細菌やウイルスといった外敵から体を守るために免疫機能が備わっています。
ところが、普段は何でもない物質を免疫機能が、細菌やウイルスなどの外敵と勘違いをしてしまい、その結果アレルギー反応を起こしてしまいます。つまり、この免疫機能の勘違いを正す治療方法が舌下免疫療法です。
具体的には、微量のアレルゲンを免疫機能が外敵と間違わないように体内に入れていきます。時間をかけて少しづつ増量しながらアレルゲンを体内に入れ、徐々に慣らすように繰り返すことでアレルギーの発症を抑制します。
※舌下免疫療法は、指定認可を受けた医師のみが実施できる治療方法です。
当院院長はこの認可を受けております。
スギ花粉症の舌下免疫療法について詳しくご説明しておりますが、適応できない方もいらっしゃいますので、ご注意ください。治療法についてのご不明点などはご相談ください。
治療の前に、採血によってスギ花粉症であるかの診断を行います。スギ花粉症と診断され、実際の治療を希望される方には、舌下免疫療法についてのご説明の上で実際の治療を開始します。
実際の治療は、スギ花粉エキス剤を舌の下に滴下し2分間そのままの状態を維持した後に飲み込みます。
これを3年~5年にかけて、1日1回滴下します。
最初の2週間は「増量期」として少量から初めて少しずつ増やし、「維持期」となる3週目からは同じ量を滴下します。
スギ花粉症の舌下免疫療法は、アレルゲンを投与することからアレルギー反応が起こる可能性があり、場合によっては、アナフィラキシーショックという重い副作用が現れることもあります。
アナフィラキシーショックとは、医薬品などに対する急性の過敏反応により、医薬品投与後多くの場合30分以内で、じんましんなどの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然の蒼白、意識の混濁などのショック症状が現れることを言います。なかでも口内炎が最も多いと言われています。
舌下免疫療法は保険適応となります。(保険証を忘れずにお持ち下さい)
診察の費用なども含め、おおよそ1ヵ月あたり3,000~4,000円のご負担(保険適応3割負担の場合)となります。
舌下免疫療法開始の時期は、一般的に12月までが最適とされています。
遅くとも1月の初め頃には開始されることをお勧め致します。
今期の治療開始を見送られた方は、1月~5月の花粉飛散時期には開始はできないので、スギとヒノキの花粉シーズンが終息してからの治療開始となります。
最初の2週間は週1回、その後は2~4週間に1回の通院が必要です。
長期間の継続治療が必要です。まずは、2年ほど舌下免疫療法を行い実際の効果を確認します。
ある程度効果のある方には3~5年間の治療をお勧めしています。
舌下免疫療法は、前述の通り一般的な治療に比べて長期間を要します。ですが、花粉症の症状を一時的に抑える治療ではなく、免疫を変え、体質を改善し長い期間かけて少しずつ良くしていくという治療方法です。
効果や治療期間には個人差がありますが、長年シーズン中につらい症状に見舞われていた方で、この治療によって免疫機能が改善され良い結果をえられたという方も沢山おります。
12歳からが適応となります。
11歳までの小児には保険適応での治療を行うことができません。
高齢者の方は、適応外ではありませんが、効果のある方の割合がやや少なくなると予想されます。